酩酊
・・・・・・弱ったな。
そうぼやきたくもなるもんだけどさ、しのぶさん、今日はいつになくピッチが早いと思えば、既に酩酊状態だ
よなぁ。これ。そもそも空きっ腹で飲んでたのもだけど、珍しく水割りが欲しいなんて言うもんだから、俺も調
子に乗せて飲ましたのが悪かった。
「寒いから、一杯どう?」と誘ったら、色よい返事を貰えて浮かれてたのもあるけど、この所忙しくて疲れもた
まってた。しかも、しのぶさんは朝から殆ど何も食べていない状態で煽るように飲んでるもんなあ。
忙しすぎて、ストレスが溜まってたのもあるんだろうけど、それにしてもこのピッチは尋常じゃないんですが。
やけ酒って言うんじゃないんだろうけど、この人、自分のペース知らないとこあるから。
「ごとぉさぁん、ね、飲んでるの?」
「あ、はいはい。飲んでますよ」
「うそぉ」
「嘘じゃないってば、それよりしのぶさん、もう帰ろ。ね」
「いやぁですぅ」
まいった。
あーまた飲んでるよ。一気飲みですか。見事なんだけど、しかも、それ俺の水割り・・・・・・。
「おいしぃー」
頬を染めて言う可愛い仕草なんだけど、まぁ、もう真っ赤に近いし、目が潤んでるし、大丈夫かね。
「・・・・・・んーいいじゃない。明日はお休み・・・・・・」
俺の視線に気がついたのか、しのぶさんは半分呂律が回らないのか舌足らずな声で言うんだけど、しょっ
て帰る俺の身にもなってくださいよ。腕時計を見れば、ありゃ、もうここ閉まるよ。おあいそしなきゃ。
「しのぶさん、ここもう閉店時間だよ。閉まっちゃうよ・・・・・・しのぶさん?」
お勘定を終えて振り返った俺が見たしのぶさんは、既にテーブルに突っ伏して眠ってた。
ほんとにお休みしてるわ。この人。
タクシーを拾って、爆睡したしのぶさんを運ぶのは労力が要ったけど、タクシーの中で少しだけ目が覚めた
みたいで、俺の部屋にたどり着く頃には多少意識が戻っていたらしい。
玄関で覚束無い足取りながらも、コートを脱ぎ捨てマフラーを脱ぎ捨て下に着ていたカーディガンを脱ぎ捨
てと居間にまで辿りついたしのぶさんはコタツに隅で座ると、呆然としてる感じだった。
俺はそれを後ろから拾い集める形でしのぶさんの後をついて歩いた。
「気分、悪くない?」
「んーだいじょおぶぅ・・・・・・」
ぼんやりとしたしのぶさんは、目の焦点が合ってない。
こりゃ、明日は確実に二日酔いだなぁ。
「今さ、布団敷くからもう寝れば?」
しのぶさんが脱ぎ散らかした服をハンガーに掛けならが、俺はしのぶさんにそう言うが、ああ、また寝ようとす
る。
ほら、コタツで寝たら風邪引くってば。
「ううん、だあいじょおぶうだってばぁ」
何処が大丈夫なんだが。抱え上げるようにしのぶさんを抱き起こすと、あらら、着ていたがカットソーの胸元、
見事に乱れてますわ。俺、そういうのわかんないけど、大きめに開いて首周りって言うのかな、肩のあたりま
で開いたデザインだからブラの紐まで見えてるんだけど。ほう、今日は淡いピンクですか。なかなか可愛い
・・・・・・あ。
しのぶさんと目が合った。
「何処見てるのよ」
目が座ってるんだけど、ついでに声も座ってるなぁ。
「故意じゃありませんて、本当です」
「後藤さんのスケベ」
「はいはい。判ったからね。もう寝なさい」
「いやぁよぉ。まだのむぅ」
背後からしのぶさんを抱かかえてるんだけど、両腕を振らないでって。痛い。当たったじゃないの。
「れぇいぞぅこにビィール合った」
顎を押さえてた俺を尻目にしのぶさんはずるずると立ち上がって、冷蔵庫から缶ビールを引っ張り出してき
てる。えーと、しのぶさん、もうそれ一体幾ら飲んでるの。
「ふぅ、おいしぃ」
とろんとした表情で言ってるんだけど、剥き出しの肩っていうのか、首周り辺りがずれて、ああ、もう肩までズ
レ下がってる。
「もうね、寝ながらでもいいから、はい、寝ようね」
「いやぁ、ごとぉさんと飲むのぉ」
・・・・・・しのぶさん、可愛い事言ってくれるんだけど、俺も限界なんですが。
俺は、しのぶさんが飲んでいる隙にさっさと布団を敷いた。
「はいはい、それじゃあ、横になってね。俺も寝るから」
「うーん」
殆ど一気に開けた缶ビールをやんわりとその手がら取って、しのぶさんを寝室に運ぶ。
ちょっとだけこのまま放り投げようかと思うけど、そんなこと出来やしない。
まぁ、しのぶさんがここまで飲んだくれてる状態も珍しいといえば珍しいんだけど、面白いから見てようか。
「ごとぉさんもいっしょうに寝るの」
俺のシャツを掴んでそういうしのぶさんは、布団に潜るようにして眠り始めている。
服、脱がなくていいのかねぇ。スカートに皺よるけど。
暑くなりゃ自分で脱ぐかなぁ。
「はいはい、それじゃあ、寝ようね。はい、おやすみ。しのぶさん」
「おーやーすーみぃ」
そういった途端、聞こえたのはしのぶさんの寝息。
一服したいなあと思うんだけど、しのぶさんが俺のシャツを掴んだままだから、とりあえず、このまま暫く俺も横
になっていようか。
すぅとしのぶさんの寝息がリズムよく聞こえるんだけど、俺はすっかり目が冴えてきたみたいだった。
あー煙草吸いてぇ、と思うんだけどこの状況下じゃ無理。
完全に眠りについてるけど、しのぶさんの手を解くのも可哀想だし。
そんな時、しのぶさんがもぞもぞと身動きした。
寒いのかなぁ。帰って来て暖房もつけずに眠らせたから、部屋の中ははっきり言って寒い。
俺も潜り込んだ布団の中で肩を竦めていたほどだった。
「ああ、寝返りうつから」
寒いからと思ったのはどうやら間違いだったらしい。酒で暑くなっていたらしく、布団を蹴倒しているぐらいだ
もん。俺は、もう一度布団をかけてやると暑くないようにと頬に掛かった髪を撫でてやった。
すやすやと子供みたいな顔をして眠るしのぶさんは、可愛いっていうのか、普段見慣れてるきりっとした顔
じゃないんだよな。童顔って言うわけじゃないんだけど、年相応の可愛さなのかなぁ。
「・・・・・・んっ」
首筋に俺の指先が触れてくすぐったいのか、小さく肩を竦める。何となく、俺はそれが面白くてつつっとその
首筋から鎖骨にかけて指先を触れるか触れないか判らないぐらいの感覚でなぞって見た。
「・・・・・・うんっ」
吐息とくすぐったいような声が掠れて出たんだけど、何となく色っぽくて面白くなるじゃない。それに相当眠
りこんでるっぽくって、嫌そうに眉を顰めているんだけど、起きないよなぁ。
眠っているのに可哀想だと思う反面、俺はその反応が面白くてついついやってしまうんだよな。これが。
剥き出しの肩に触れてみると、面白いぐらいに反応をしてるしのぶさんなんだけど、俺、良いのかなぁ。
さっきちらりと見えた下着が見下ろしたら見えるんだもん。
あ、これ、俺が見たことがないやつだわ。まぁ、俺もいい年だからたかが胸元が見えたぐらいでどうのって言
う訳じゃないんだけど、ね。まぁ、その・・・・・・止めとけ、俺。
「・・・・・・後藤さん」
小さくほんと小さく囁くように言った俺の名前で、起きたかと一瞬焦るんだけど、しのぶさんはどうやら完全に
眠っているらしい。俺の夢でも見てんの?名前を呼ぶって言うことはそういうことなんだけど、ああ、もう、堪ら
ない。
白い服のこんもりと盛り上がった胸元のてっぺんを人差し指でツンと突いてみた。
ビクンとしのぶさんの身体が反応してる。少しだけ口元が開いて、かすれた声が上がるし、どうも俺までどう
にかなってしまいそうな声を出すんだもん。俺、やばいって。止めとけと諭す声もあるんだけど、その反応が
面白くてなんだか徐々に胸元を触る指の本数が増えていってしまう。その都度、しのぶさんは、声にならな
い声で反応を示すもんだから、どうしようもない。
「・・・・・・ごとぉさん」
ぼんやりと目が開かれた。ああ、ごめん。起こしちゃった。まだ半分起きたばかりっていう感じなんだけど、頬
に掛かる髪が色っぽいなぁ、この人。
「どうかしたの?」
俺は何にも知らないっていう素振りでしのぶさんを見てたけど、しのぶさん、えらく潤んだ熱っぽい目で俺を
見てる。これ酔ってるだけじゃないな。
「・・・・・・ううん」
しのぶさんは、何かを言いたげにしてるんだけど、まだ思考が覚束無いようでとろんとしたまま俺を見てる。
そう思っていたらしのぶさんの手がおれの顎を撫でた。俺がしのぶさんの胸を触っていたように触れるか触
れないかっていう微妙な感覚の触り方だった。こういう時のしのぶさんの仕草にある心当たりがある。
やっぱり今までのが効いたのかなぁ。
「・・・・・・したいの?」
しのぶさんの耳元でそう囁くと、しのぶさんはビクンと反応してる。
なんかこう言葉がストレートすぎるんだけど、俺も実はその気になって来てたから、思わず口にしたら俺もご
めん、もう、駄目です。したいです。
「・・・・・・しのぶさん?」
見下ろしたしのぶさんは、真っ赤になってるんだけど俺の視線を逸らしながらも「うん」と小さく頷いた。
まだ酔いが残ってるような感じだけど、それはそれでまた普段とは一段と違う色っぽさがあるなぁ。
「・・・・・・んっ、ごとおさん」
まだ酔いの残ったような甘い声が俺を呼ぶ。
服をたくし上げて、ブラの上から触っていたらしのぶさんがじれったそうしてこっちを見た。
「ん?」
「・・・・・・お願い」
酔っていても羞恥心は、微かながらに残っているらしい。
焦らすつもりじゃないんだけど、何となくしのぶさんの反応が面白くて触れていたけど、しのぶさんは直接
触ってとおねだりをするように訴えかけている。
「嫌だよ」
意地悪するつもりはないんだけど、あ、やっぱり俺って意地悪だよね。にんまりとそう言い返してしまった。
しのぶさんがどう反応を返してくるのかが、見たくてついそんな言葉を口に出していた。
「・・・・・・意地悪」
潤みきったしのぶさんの眼が、言葉と一緒にそう訴えるけど、俺だってそう思いますよ。はい。
と、思ってたら、あらら、しのぶさん起き上がって、まぁ、見事な脱ぎっぷり。でも、脱がす手間も美味しいんだ
けど。
「何、ジロジロ見てるのよぉ」
真っ赤になったしのぶさんは胸元を腕で隠すようにすると急いで布団に潜り込んだ。
すっぽりと頭まで布団を被った仕草が、可愛すぎて、あー駄目。俺、苛めちゃうよ。
がばっと布団を剥いで、しのぶさんを組み敷く。
胸元を隠したまま俺の態度に驚いたしのぶさんと目が合った。
「・・・・・・後藤さんが・・・・・・欲しいの」
躊躇いながらにもそう言われて、俺の中で何かが崩れるような感覚があった。
むしゃぶりつくようにしのぶさんの唇を奪う。
しのぶさんの身体は熱かった。
丹念にその胸元を舐めると、しのぶさんは何時もより反応が大きかった。
口に含んで硬くなりつつある乳首を舌先で転がしてみると、しのぶさんの身体が弓なりに逸れる。
俺の頭に指先を絡めて髪をくしゃくしゃにする。
震えるような仕草が、どうしようもないって言うほど色っぽい。
「・・・・・・やぁっ・・・・・・ああんッ」
強く乳首に歯を立てると、大きな喘ぎ声がこぼれた。
しのぶさんの顔を見上げると、しのぶさんはハッと我に返ったのか真っ赤になって唇を噛み締めている。
「我慢しなくてもイイからさぁ。今日、格別色っぽいんだから」
わざとしのぶさんが感じるように、耳元でそう囁くと睨むような目が俺を見てた。
しのぶさんは答えの代わりに「駄目だ」と言っていたのだろう。でも、駄目だよ、そんなことしても。もう、俺止
まらないもん。
「それに、誘ってきたのはしのぶさんの方なんだから」
くっくっと笑い声を押し殺して言ってみるとしのぶさんはそっぽを向いた。
その気にさせたのは俺の方なんだけど、しのぶさんは判っていない筈。
「ねぇ、しのさぶん?」
顔を覗きこんでみたら、しのぶさんは俺から逃げるように更に顔を背ける。
俺はしのぶさんの顎を掴んでじっと見下ろすと、しのぶさんは、今にも泣き出しそうで羞恥で震えるような熱
っぽい眼で俺を見ている。
「・・・・・・後藤さんなんて・・・・・・嫌い」
それだけを言うとしのぶさんは、眼を閉じた。
苛めすぎたかな?俺は乾いた笑い声をかみ殺して、しのぶさんを更に煽る。でも、酔いが残る身体は面白
いぐらいに反応を示していた。更に乳房を弄ると、しのぶさんは身体をくねらせて嫌々と頭を振る。そして、
諦めたのか我慢出来きなかったのか切なげに零れる声が響き渡る。
「嫌いなのに反応するんだねぇ」
酔いが残ってるのか俺も意地悪く更にしのぶさんに言うと、しのぶさんは何やら思いつめたような顔つきに
なった。そして、徐に上半身を起こすと、俺の顔をじっと見つめる。
「・・・・・・その・・・・・・今日、私から言ったの・・・・・・嫌だったの?」
呂律が少しだけ覚束無いんだけど、なんだか必死なしのぶさんがいじらしく思えた。
でも何か勘違いさせちゃったかなぁ。俺も思わず手が止まる。
しのぶさんは、泣き顔みたいに歪んでいる。
あ、駄目だ。本当に苛めすぎたみたいだ。しのぶさん、酔ってるから余計に今日は感情が特に素直ってい
うのか、過敏なんだ。目が潤みきってる。えーと、どうしよう。かなり気まずいよね。これ
って。
「そんな事ありませんよ」
ほんとにそうなんだけどね。しのぶさんをそう言って抱き締めると、子供をあやすようにしてもう一度横たえた。
長い髪が絡みつく首筋に顔を埋めて、「ごめん」と言いながらぎゅっとしのぶさんを強く抱き締めた。
小声で「バカ」って言うとしのぶさんも俺に回した腕をぎゅっと力を込めた。
しのぶさんは大分、酔いが醒めてきてたみたいだけど、普段より幼い子供みたいに素直になってる。
額をすり合わせてしのぶさんを見ると、今度はしのぶさんも俺を見返してくる。
俺が微かに笑うとしのぶさんもくすっと小さく笑って目を閉じた。
俺は仕切りなおしとばかりにしのぶさんの顔中にキスをして回る。
柔らかいしのぶさんの身体は熱を帯びて、温かくて何ともいい感じだった。
段々と熱にうなされるようにしのぶさんが俺の名前を呼び続ける。しっとりとした肌が吸い付くように俺と密着
させ絡み付いて来た。俺はしのぶさんにキスをしながら、着ていた服を脱ぐとしのぶさんに再びその身体を
抱き締めた。
胸元からすすっと滑るようにウエストラインを指先でなぞると、柔らかくて思わず唇でその柔らかさを確かめた
くなる。しのぶさん、ここ嫌がるんだけど、本当は感じやすく反応が良くて俺は構わず臍の辺りを突付くように
舐める。
「やんっ」
しのぶさんが逃げるように身体を逸らすけど、俺に下半身をがっちり固定されているからそれも出来ない。
俺は、そのまましのぶさんが嫌がる様を楽しむようにしながら太腿に舌を這わした。
「・・・・・・後藤さん」
しのぶさんを押さえつけている手にしのぶさんの手が触れてくる。
太腿を舐めながら見上げたしのぶさんは、その物凄く妖艶に見えた。
何て言うんだろう、酒のせいで大胆な面を見せたと思うんだけど、いつもより紅く染まった身体がほんのりと
した明るさの中で青白く浮き上がる様とか、乱れた髪が張り付いた首筋や唇とか、ね。
そんな様子をじっと見ていると、俺自身ももうそろそろかなと思い始めた。
しのぶさんが、俺を呼ぶのももう準備が出来ているからだろう。
潤んだ目と同じように触れた部分は潤みきっていた。
「ああっ」
一段と高い声が響いた。
しのぶさんがもう待ちきれないとばかりに俺の身体に脚を絡ませてくる。
まるで白い蛇みたいだなと俺はぼんやりと考えた。
「ご、とうさん・・・・・・」
切なげに呼ぶ声。
涙混じりでそう囁かれて、我慢できる男なんて居るんだろうか。甘く少しだけ舌足らずにも言うしのぶさんは、
どこか夢現のように俺を見ていた。
俺自身もその声だけで駄目みたい。
乱れた髪を梳いてやるとうっとりと気持ち良さそうに目をとじるしのぶさんを見ながら俺はもぞもぞと準備をし
た。そして、しのぶさんを抱き起こすと俺も胡坐をかいたまましのぶさんを抱き締めるように前を向かせ、ぼん
やりとしているしのぶさんの腰を掴むと、そのまま有無を言わさないま
ま突き上げた。
「やっ・・・・・・あんッ」
堪らないとばかりにしのぶさんが俺にしがみついてくる。
綺麗な乳房が俺の胸にあたってぐにゃりと歪んだ。
「だめぇ。後藤さん」
しのぶさんの身体が反り返ってその髪が乱れる。
俺は構わずしのぶさんの身体を突き上げる。そのうちしのぶさんもそれに合わせて腰を動かす。
深く突く度にしのぶさんは堪らないとばかりに俺にキスを求めてくる。
唾液が絡み合い隠微な水音が重なり合う。俺はそれだけでも興奮するんだけど、しのぶさんはそれ以上に
興奮しているらしい。俺に回した腕が必死にそれを伝えようとする。
「やぁあ、やあん・・・・・・ご、ごとおさぁん・・・・・・」
反り返るしのぶさんの乳房を片手で掴むと痛いぐらいに硬くなった乳首を舐める。そして、しのぶさんは更に
俺を締め付けてくる。何時もよりその締め付けがきつくて俺はどうにかなってしまいそうな感覚を覚えた。
しのぶさんもそれは同じだったのか、しのぶさん自身から激しく腰を振ってくる。
乱れたしのぶさんの喘ぐ声と俺の荒い息が繋がった箇所のように一緒になっている。
やがて、しのぶさんが大きく弾けるように甲高い声を上げて俺の上にしな垂れかかってきた。
汗で身体中が湿り気を帯びていた。
俺はそんなしのぶさんをゆっくりと横たえると、両足を抱えた。
荒く肩で息をするしのぶさんは、もう堪らないとばかりに嫌々をしている。
「だめよ、もう・・・・・・」
懇願する目だけど、俺だってね。ごめんと思う反面、その眼に余計苛めたくなるじゃない。
滑り気を帯びているその箇所にもう一度、俺自身を進入させる。
「うわ、しのぶさんキツイ」
さっきもだったけど、一度いっているせいかしのぶさん自身凄く感じやすくなってるみたいだ。
俺の物を咥えたしのぶさんの身体はきつい位に締め付けてくる。でも、しのぶさんはもう俺の言葉が聞こえ
ないのか、ただ夢中で頭を振って打ち震えるように耐えている姿が何とも愛しくて、俺自身もどうにかなっち
まいそうな感覚に眩暈を覚える。
息を整えてゆっくりと動き出した俺にしのぶさんは、更に嬌声を上げる。それが更に俺を煽る。
「ご・・・とう・・・さぁん・・・だぁめ・・・・・・も、もう・・・・・・」
涙目で俺を見るしのぶさんに優しくキスをして俺は更に打ち付けてゆく。しのぶさんの身体に俺自身を残す
ような感じだといえばいいのか、それともこの気持ちを伝えたいのか判らない。ただ、俺もしのぶさんも一つ
になろうと蠢くだけだった。
しのぶさんの声と俺の息が交じり合って、部屋中がその密度を増した。
段々と昂ってくる俺が、しのぶさんの中にそれを吐き出したのは、しのぶさんが小さく悲鳴のような声を上げ
て引き攣った身体を強張らせた後だった。俺もがくりとしのぶさんの胸に崩れ落ちた。息が続かないぐらい
荒い息と鼓動がうるさいぐらいだった。
どれぐらいそうしていたのか、気がつくと俺はしのぶさんと一つになったままそうやって過していた。
しのぶさんは俺の前髪を撫でて流れる汗を指先で拭ってくれた。
視線が合った。
しのぶさんはふっと淡い笑顔をして俺を見つめた。俺もしのぶさんと同じような笑みを返した。
身体を引き離し、俺は寝転んでしのぶさんを抱き寄せる。
しのぶさんも俺に抱き寄せられるまま素直に俺の胸元に顔を埋めた。
それから俺たちの記憶は無かった。
「うーおはよ」
寒いやと目覚めれば、既に昼日中。しのぶさんも俺が起きたせいか、目覚めたらしい。
ぼんやりとしたしのぶさんは、気だるそうだけど、大丈夫かなぁ。昨日、結構飲んだ上にアレだもん。
「・・・・・・おはよぅ」
「大丈夫?」
「・・・・・・うん」
目を擦りながら、そういってるんだけど元気が無い。
無理させちゃったかな、と心配になるじゃない。
「・・・・・・私、その昨日・・・・・・」
恥かしそうに消え入りそうな声でもじもじとしているしのぶさんが、俺を見ている。
記憶飛んだかな?覚えてないのもちょっと悲しいんだけど・・・・・・
「すっごく大胆で俺疲れちゃったよ」
わざとくたびれた素振りを見せると、しのぶさんは真っ赤になった。
触れ合っている部分からもしのぶさんが赤くなる様が伝わる。
「そっ、そんな事」
あ、記憶はあるか。良かった。じゃあ、悪いけどね。苛めるよ。
「そんな事って記憶あるの?あんなに泥酔してさぁ、『後藤さんが欲しいの』なんて色っぽい声で言われて」
しのぶさんは何やらアーアーと大きな声で叫んで俺から逃げようとしたけど、残念でした。逃げれませんって。
手首を掴んで俺はしのぶさんの上に乗りかかった。
真っ赤になって俺を睨んでるんだけど、ほんと、可愛いんだよなぁ。
いい加減、俺も馬鹿だと思うけど惚れてるから仕方ないよ。
「しのぶさん、可愛かったなあ。潤んだ眼で見つめるんだもん」
更に言うと、しのぶさんはもう観念したのか手に込めていた力が抜けるのがわかった。
俺もそれを確認すると、そっとしのぶさんの手首を掴んでいた手を解いた。
しのぶさんがおずおずと俺の背に腕を回す。
俺は抱き寄せられるまま、しのぶさんにキスをした。
「だって、そんな事言ったって、その、そのね、後藤さんと・・・・・・かったのよ」
最後の言葉は聞き取れないけど、耳元でそう囁かれてさぁ、俺、またなんですが。
誘わないで欲しいとは思わないけど、俺も若いねぇ。
「あ、だめだわ。今ので俺またしたくなった」
率直に言えばしのぶさんはえっと驚いたけど、小さく頷いた。
しのぶさんの首筋に顔を埋めて俺はなんだかずっと夢の中にいるような感覚を覚えた。
カーテンの隙間から冬の日差しが微かに差し込んでいた。
酔ってたのはしのぶさんじゃなくて俺だったのかもしれない。
そう、しのぶさんにずっと酔ってるのは俺だから。
ちささまのサイト「Sea Of Peace」(当時は違うサイト名でした)が2万ヒットされた記念に粗品を差し上げたところ、すんげーお返しが届きました!
「酔っ払いしのぶさんか、後藤さん一人称どっちか。思っきしエロいので!」という横暴極まりない注文を出したところ、返ってきたのがこれですよ! ちささま、本当に心から感謝します。
お礼に踊りでも踊りましょうか。いりませんかそうですか(^−^)
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